


コンピューターがチェスで人間に勝って久しいですが、一般的にはチェス用AI(人工知能)は強さを追求しています。しかしながら、「Maia」と呼ばれるチェス用AIは強さを追い求めていません。むしろ、間違いも含めた「人間らしい指し筋」を目指した学習を行います。
強さではなく、人間らしい差し筋を学習
Maiaはほかのチェス用AIと同様に、チェスの棋譜を使ってトレーニングを行います。しかしながら、そこで学習するのは「いかに勝つか」ではなく、「いかに人間らしい指しまわしをするか」についてです。
つまり、他のAIが勝てる手を予測するのに対し、Maiaは人間が指すであろう手を予測します。実際に検証を行ったところ、人間の指し筋との一致率においてMaiaは50%強をほこり、StockfishやLeelaといったAIよりも上でした。
将来的には医療分野などでの応用も
人間の指し筋が予測できるということは、人間がどのような場面でどのような間違いを犯すのか予測できるということになります。 これを利用し、直接的には、チェス学習ツールとしてMaiaを活用することが可能でしょう。
さらには、医療分野にMaiaが応用できるのではないかと考えられているそうです。間違いやすい医療用画像を抽出して医師の訓練に使ったり、診察の間違いに気づくように医師を支援できたりするかもしれません。
違いを犯しやすい応用分野はほかにも多くあるでしょうから、このようなAIがさまざまなところで人間の訓練や支援のために活躍する日も近いかもしれません。